医療事故(医療過誤・医療ミス)に対する損害賠償請求
医療過誤は、民事責任として債務不履行或いは不法行為に基づく損害賠償責任、使用者による懲戒の対象になり得、また刑事責任として業務上過失致死傷などの対象となり得ます。
医療事故の損害賠償の要件
損害賠償の要件としては、過失(注意義務違反)或いは医者の説明義務違反、因果関係、損害を立証することが必要です。
過失は、結果についての予見可能性、及び結果についての回避義務があったかをみます。この注意義務は、一般人が持つ医療に対する期待と医療側の事情を鑑みて損害賠償を認めることについて相当性があるかという見地から検討されます。
原因から結果は発生し得る高度の蓋然性(死亡或いは重大な後遺症が生じた場合は、相当程度の可能性であっても損害賠償を認めています。)があるかを因果関係においてみます。高度の蓋然性は通常人が疑いを差し挟まない程度の真実性がある程度とお考えください。
損害は3種類に分類することができ、積極損害、消極損害、慰謝料があげられます。支出が増えたのが積極損害、収入が減ったのが消極損害とお考えください。
即ち、積極損害としては(1)治療費(2)付添看護費用(3)雑費(4)通院交通費(5)葬儀関係費用(6)損害賠償請求関係費用(7)行政書士・弁護士費用(8)遅延損害金となり、一方、消極損害としては、(1)休業損害(2)後遺障害による逸失利益・死亡による逸失利益があげられます。
慰謝料とは、精神的損害に対する賠償で、民法710条を根拠としています。
医者の説明義務違反は、手術を実施する際の説明として(1)診断(病名と病状)(2)実施予定の治療内容(3)治療に付随する危険性(4)ほかに選択可能な治療法があれば、その内容と利害得失や予後(最高裁平成13年11月27日判決)を挙げ、これらを患者に説明をする必要があります。