ケンカの傷害・暴行による慰謝料請求
先生、先日繁華街の居酒屋で友達と飲んでいて、帰り道に肩がぶつかりそうになったと言われて、男に顔を殴られたんだ・・・。
えーっ!ワタルくん、大丈夫だったの!?病院には行った?
うん、全治2週間だって!警察を呼んで、相手の素性はわかっているんだけど、ひどい頭痛で会社も今欠勤しているんだ。
そうかー、楽しく飲んでいたのに災難だったね・・・。相手には謝罪はもちろんだけど、慰謝料請求と休業損害、治療費、通院交通費を請求していこう!
ケンカや暴行によって、治療が必要な怪我をした場合には、暴行を受けた相手方に対して慰謝料の請求が可能です。民事的に慰謝料を含めた損害賠償請求を主張し、刑事的には傷害罪(刑法204条)或いは暴行罪(刑法208条)によって刑事責任を合わせて主張していきます。
また、暴行と傷害がどう違うのかというご相談をよく受けるので申し上げますと、傷害は人の生理的機能を毀損することであり、暴行は、傷害に至らない人の身体に向けられた有形力の行使であるとお考えください。
刑を軽くするための手段について
先生、相手が示談をすると言ってきたんだけど、示談ってどういうことなの?
示談っていうのは、暴行や傷害で生じた賠償金にまつわるトラブルを相手とワタルくんの間で合意をして、それをもって解決することをいうんだ。
なんか、示談書を作成するとか言っていたけど、示談には示談書が必要なの?
示談書は必ず必要なものではないよ。ただ、ワタルくんと相手が対立関係になっているから、あとから合意した示談の内容で言った、言わない、となることが多いのでそれを防止するために示談書を作成するのが一般的だよ。
暴行罪においては被害者と示談をするのが最も有効です。
起訴前になるべく早く示談を試み、示談が成立できれば、不起訴可能性は高くなります。
傷害においては、相手に負わせた傷害(怪我)の程度・行為態様などもありますが被害者との示談は暴行同様に重要であり、示談によって不起訴の可能性も大いに考えられます。
示談についてはわかったけど、示談をするメリットってなんなの?
まず、加害者のメリットとしては、ワタルくんと示談をすることで示談をしなかった場合に比べて刑事手続きで不起訴になる等有利に取り扱われるんだ。不起訴になったら相手は前科がつかないからね。
一方で、被害を受けたワタルくん側のメリットとしては、即座に賠償金を受け取ることで後から民事的に賠償請求をする等の労力と手間を負う必要がなくなる点が大きいよ。民事的な賠償請求をするのには自分で訴訟をして、弁護士をつける場合は弁護士費用がもちろん発生し、費用倒れとなる場合が多いからね。
なるほどね、確かに後から賠償金請求をすると相手が任意に払わない場合も多いだろうし、裁判をするとなると弁護士をつけて弁護士費用も払って結果マイナスになると何をしているかわからないもんね・・・。
それと、もう1つ、示談をする場合は示談書を作成した上で示談成立した時に示談金を受け取らないと、加害者が逃げるケースもあるのでよく覚えておいてね!
暴行罪・傷害罪の示談金の相場について
示談金の相場については、暴行・傷害事件といっても様々な場面での事案があるので一概に言えないけど、暴行・傷害を受けていた期間、悪質性、執拗さ、継続性、被害者側の処罰感情、暴行・傷害の態様、被害者側にも落ち度があったか等を総合的にみて判断され、悪質であったり、執拗であったりする場合は示談金は高くなってくると言えるね。
一般的なケンカの場合は10万円~20万円程度の場合が多いと言えるよ。
傷害の程度が全治1ヶ月以内の場合であって、被害者が具体的な金額を提示してこない場合であれば大体全治1週間で10万円、全治1週間を超えると20万円~100万円程度の範囲内で示談をしている例が多いように思います。
それなりに怪我をしている場合でも喧嘩に至った双方の落ち度を鑑みて示談が0円でできた事案や、軽微な怪我であっても被害者の被害感情が大きく30万円を支払う事案もありました。
被害者の被害感情を前提に、被害の程度、悪質性、執拗さ、加害行為の態様、加害者側の支払能力、被害者側の落ち度など個々事案によって示談の金額は異なります。