犬に噛まれた(咬傷)場合の慰謝料請求
第718条
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
第722条
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
ペットとして飼われている犬や猫は、毎日の疲れをかわいい姿で癒してくれます。
その一方で、人間と動物が共存していることから、残念なことですが、必然的或いは偶発的な咬傷事故も起こってしまいます。
ペットの咬傷事故の代表的な例は、
- リーシュ(リード)をしていたが注意が十分でなく犬が人間に咬みつく
- 庭で飼っていた(繋留していた)犬が玄関先で人間に咬みつく
- 放し飼いをしていて犬が人間に咬みつく
- 保管上の不注意で犬が逃げ出した時に人間に咬みつく
- 幼児が犬に手を出した
事例が圧倒的に多いです。
咬傷事故においては場合によっては消えない醜状痕や体の一部を切断するような事案もあります。
犬に噛まれた(咬傷)場合の事故は、損害補填の制度もなく、当事者間の協議が上手く進まないことも往々にしてあります。
また、咬傷事故ではなくても、吠えた犬に驚いたことから受けた2次的被害においても、相当因果関係が認められる範囲で損害賠償を認定した事案もあります。
犬の飼い主の過失について
咬みつき事故には、民法718条1項の規定により動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うとしており、但書によって、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでないと規定しています。
すなわち、犬の飼い主が動物の種類及び性質に従って通常払うべき程度の注意義務を尽くして動物を飼育していたことを立証できた場合には、損害賠償責任を免れるとする規定です。
これには、判例上、動物の種類、年齢、動物の性質、年齢、動物の性質、雌雄、性癖、病気、動物の加害前歴、占有者又は保管者のその職業、保管に対する熟練度、動物の訓致の程度、加害時における措置態度等、保管の態様、に加えて被害者側の被害時の状況、警戒心があったか、被害誘発があったかなどを総合考慮して判断していきます。