慰謝料請求と損害賠償請求について色々話をしています。

慰謝料請求と損害賠償請求の違いについて

risaさん
ねぇねぇ、先生。。私も今まで勉強してきて、少しづつわかってきたんだけど、いま一つよくわからないことがあるの。

gyoseishoshiさん
ん、何がよくわからないの?

risaさん
慰謝料請求と、損害賠償請求って何がどう違うの??

gyoseishoshiさん
慰謝料と損害賠償はね、何が違うかといえば・・・。
損害賠償は目に見える財産上の損害を償うための賠償金をいい、一方で、慰謝料は財産上の損害ではなく、精神的な損害など無形の損害の賠償金をいうところが、違う点といえるね。

risaさん
そういうことなんだ!だから、事故でケガしたことで受けた損害・治療費なんかは見に見える財産上の損害であるから、損害賠償請求をすることになるんだ。また、それぞれの性質が異なるから、慰謝料と損害賠償が同時にできるようなケースもあるんだね。

gyoseishoshiさん
そういうことだね!慰謝料と損害賠償はその違いから損害を証明することは一般的に慰謝料の方が困難な場合が多くて、事案によっては損害賠償は認められても慰謝料が認められないような場合もあるんだよ。

慰謝料請求と損害賠償請求の当事者

risaさん
ふむふむ。。そういうことか。

mihoさん
じゃあさー、、

risaさん
わっ、ミホ!びっくりしたっ!!

gyoseishoshiさん
ミホちゃんもいたんだね・・・。

mihoさん
驚かせてごめん(笑)話を聞いていてすこし思ったんだけど、慰謝料請求と損害賠償請求ができる人って限定されるの?

risaさん
どういう意味??

mihoさん
だからー、加害行為を受けた張本人や精神的な被害を受けた張本人以外が、本人に代わって請求ができるのかって疑問に思ってね。

risaさん
そんなことできないと思うよー!

gyoseishoshiさん
基本的に慰謝料制度は精神的な被害を被ったものに、金銭的な賠償を認めて精神的苦痛を癒すというものだから本人しか請求できないんだ。また、損害賠償制度についても加害行為によって受けた損害を被ったものに、金銭で補填するというものだから本人しか請求できない。

risaさん
ほら~、言ったでしょ!

gyoseishoshiさん
でも、例外もあるんだよ。

mihoさん
むむっ、そうなんだ。。

risaさん
どういう場合があるの!?

gyoseishoshiさん
相続の場合なんだ。

mihoさん
相続!?

gyoseishoshiさん
うん、さっき言ったように、損害賠償制度は加害行為によって受けた損害を被ったものに、金銭で補填するというものだから本人しか請求できないというのが基本的な考え方なんだけど、これをきっちりとあてはめると損害を被った人に酷、といえるケースがでてくるんだ。

risaさん
それはどういう時?

gyoseishoshiさん
訴訟で何年もかかっていると、原告が死亡するような場合も出てくるでしょ。そのような場合に、相続人が訴訟を引き継いで判決が出ることで損害賠償が認められるような場合とか、判決が確定し、賠償金の支払がされる前に原告が死亡した場合とか、そういった場合には損害賠償請求権が相続されることになるんだ。

mihoさん
そういう場合があるんだね。

gyoseishoshiさん
そして、慰謝料制度は精神的な被害を被ったものに、金銭的な賠償を認めて精神的苦痛を癒すというものだから本人しか請求できないというは損害賠償請求と同様で、この考え方からすると相続はできないことになる。この根拠は民法896条ただし書で「被相続人の一身に専属したもの」は相続されないと規定されているからなんだ。下に条文を引用するね。

民法第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

risaさん
確かに書いてある。。

gyoseishoshiさん
こういう規定をみてみると、慰謝料請求権の相続は認められないんじゃないかと思うんだけど、今現在の判例では、慰謝料請求権の相続は認めているんだ。

mihoさん
えっ!?ダメなんじゃないの?

gyoseishoshiさん
その考え方が、被害そのものは精神的な被害であるけれども、慰謝料請求権そのものを見てみると、それは金銭的請求権であるから、民法896条ただし書で「被相続人の一身に専属したもの」とはいえないというものなんだよね。

mihoさん
そういう考え方なのか~!

gyoseishoshiさん
その論理から、慰謝料請求権を相続でき、相続人は慰謝料請求をすることができるんだよ。

mihoさん
先生、よくわかったよ。

risaさん
慰謝料請求の相続ができるのはわかったんだけど、例えば交通事故で親を亡くした子どもが自分自身の慰謝料請求権をもっているときに、さらに親から相続した慰謝料請求権を行使することができるの?

gyoseishoshiさん
それは、結論からいうとできる。

mihoさん
でも、親の慰謝料請求権と自分自信の慰謝料請求権と両方行使すると、裁判所では認められる慰謝料の総額が少なくなりそうな気がするんだけど・・・。

gyoseishoshiさん
これはミホちゃんの考え方にも一理あって、慰謝料請求権を相続することで自分自身の精神的苦痛も一定程度緩和されるとして相続した慰謝料請求権と自己の慰謝料請求権を相関的にみる考え方をとる場合が多いといえるよ。